1-1 エアスプレー

 エアスプレーは、圧縮空気で塗料を細かい霧状にして、被塗物に吹付けて塗装する方法で、はけ塗に比べて作業効率がよく、平滑な塗面を得ることができるが、霧の飛散とオーバースプレーが欠点です。

 エアスプレー装置は、コンプレッサー(空気圧縮機)、空気圧力を調整し、ゴミなどを取り除く空気清浄圧力調整器、塗料供給容器、塗料を霧化するスプレーガン、及びこれを接続する空気ホース、塗料ホースから構成されています。

 スプレーガンには使用される用途によって多くの種類が作られていますが、大きく分けて、塗料と空気キャップの内部で混合して塗料を霧状に噴射する内部混合式スプレーガンと、空気キャップの外で霧状にする外部混合式スプレーガンがあります。一般には外部混合式スプレーガンが広く使用されています。内部混合式スプレーガンは主に高粘度塗料や特殊塗料(多彩模様等)の吹付けに使用されています。

 スプレーガンの種類を分類すると、まずスプレーガンの大きさにより大形、小形、塗料供給方式により、吸上げ式、重力式、圧送式があり、またそれぞれの方式により塗料ノズル口径、空気使用量別に分けられています。

スプレーガンの分類概要

分類 種類
霧化方式 内部混合 ・外部混合
供給方式 重量式 ・ 吸上げ式 ・ 圧送式
作動方式 手動式 ・ 自動式
大きさ 小形 ノズル口径(φ0.4~φ1.8)
大形 ノズル口径(φ1.2~φ2.5)

 外部混合式スプレーガンでは、JISで定められた分類によって作られるが、最近では、塗料、用途に適したJIS以外の仕様も増えてきています。その一例として低圧スプレーガンで霧の飛散防止、塗着効率の向上の高機能ガンも作られています。

 基本構造は外部混合式スプレーガンと同じですが、空気キャップの空気圧力が0.07MPa(0.7kg/c㎡)以下の構造になっています。

 外部混合式スプレーガンは、本体、調整部及び先端部からなり、先端部の空気キャップにより、丸吹き、平吹きなど、パターンの形状や、霧の細かさなどのスプレー塗装の生命である霧の性能を決定します。調整部では塗料の噴出量、スプレーパターンの大きさを調整することができます。

 スプレーガンは圧縮空気の力で塗料を霧にするため、基本的には空気の使用量の多いほど塗料を多く噴出することができます。塗料の噴出量に対して空気の量が多いほど霧が細かくなり、塗料粘度が高くなるほど霧は粗くなります。スプレーガンの調整によって霧を粗くしたり細かくしたりすることができ、使用する塗料や被塗物の種類、使用場所によってスプレーガンの種類や塗料ノズルの大きさを選択して使用します。

 スプレーガンの取扱い上の基本的な要素として調整と操作があります。調整は次のように行います。

  (1)適正な吹付け空気圧力の調整

  スプレーガンの手元制圧は小型ガンで0.2~0.29MPa、大型ガンで0.29~0.34MPaを基準としています。

  (2)塗料噴出量の調整

  噴出量を多くすれば粒子が粗くなり、少なくすれば細かくなるので、ニード弁によって調整する塗料噴出量は、試し吹きパターンのとき噴霧粒子及びスプレーパターン形状をみて適正な条件に調整する。

  (3)スプレーパターンの調整

  スプレーパターンには丸吹きと平吹きがあり、被塗物の形状によって分けて用いますが、幅の狭いものや小物などは丸吹きに近いパターンに調整して塗装します。使用する塗料の種類と被塗物の形状によって塗料噴出量と関連させながら適正なパターン開きに調整します。

 スプレーガンの正しい操作方法として原則的なものを次にあげます。

  (1)適正な吹付け距離

 標準的な形での塗面とのスプレーガンとの距離が15~25cmで使用します。近すぎると塗料がたれやすくなり膜厚も不均一になります。遠すぎると塗料のロスが多くなり、塗装面がざらつき状態となります。

  (2)スプレーガンの運行

 スプレーガンは塗面に対し直角に保ちながら塗面に沿って平行に動かさなければなりません。またスプレーガンの運行速度も50cm/sec前後で、あまり早すぎるのは塗料のロスを多くするので好ましくありません。

  (3)スプレーパターンの塗り重ね

 スプレーパターンは楕円形の形をし、直径の両端は薄くなっています。この薄い部分を塗り重ねることによって平滑な塗膜を作っていきます。この塗り重ねる基準はスプレーパターンの形状によって異なりますが楕円パターン1/2~1/4塗り重ねて塗装します。

 

<内部混合式スプレーガン>

 内部混合式スプレーガンの塗料の供給方式として重力式と圧送式があり、リシンガン及びタイルガンは重量式です。

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