2.仕上げの種類に応じた塗装工程

2-1 下地付けを必要とする仕上げ

 仕上げの種別は、塗料の種類と塗り回数の多少によって決められているが、高級な不透明仕上げには、「下地付け」の工程が加わる。

(1)下地付けをする塗装

 通常、下地付けをする仕上げには、次のようなものがある。

 ①油性系エナメル塗り仕上げ

 ②ラッカーエナメル塗り仕上げ

 ③溶剤形合成樹脂エナメル塗り仕上げ

(2)下地用塗料(下地材)の大別

 下地用塗料には、ヘラ付け用パテとそのパテを整えるために使用するサーフェーサーがある。これら塗料には、大別して油性系のほかに、ラッカー系や塩化ビニル系などの速乾性のものと、不飽和ポリエステル系などの重合形のものなどがある。

 パテやサーフェーサーは、原則的には仕上げに用いる塗材と同じ系統のものを使用すればよい。つまり、油性系塗料には油性パテを、ラッカー系塗料の仕上げにはラッカー系パテを使用する。

(3)下地付け工程の可否

 下地材(下地用塗料)は、一般の塗料に比較して付着性、可とう性などが劣るので、本来は好んで使用するものではない。塗装面の状態が、下地付けを行わないと平滑に仕上がらない場合に用いる。

 また、下地付けを施すと、必然的に面の修正に研磨(研ぎ)の工程が必要になる。

 研磨作業は塗装工程に比較して、著しく手間のかかる工程なので、高級塗装仕上げで採用される。

 

2-2 みがき仕上げを必要とする仕上げ

 一般塗装は仕上げ塗りで終了するが、高級仕上げでは最終仕上げ後にみがきを掛ける「みがき仕上げ」がある。

(1)みがきを行う塗装仕上げ

 みがきを掛ける仕様は不透明塗装でも、透明塗装でも下地付けを入念に行った高級仕上げの場合に対象となることが多い。

(2)みがき仕上げの時期

 塗料は、その種別によって指触乾燥から硬化乾燥までの時間やプロセスが異なる。

 みがきを掛ける時期は、塗膜の肉やせが止まり、完全硬化した状態がよい。

 しかし、建築の塗装は現場施工であるからその時期まで待つ余裕が、なかなかないのが現実である。少なくとも次の日数は乾燥させたい。

 ①油性ワニス又はエナメルなどは1週間以上放置する。

 ②合成樹脂ワニス又はエナメルなどは3日以上放置する。

 ③合成樹脂溶剤形の塗料やクリヤラッカー、又はラッカーエナメルは翌日でもよいが、下地付けその他の工程で塗膜が厚くなっている場合は、やはり3日以上は放置したい。

 

2-3 変わり塗り仕上げ(デコラティブペイント)

 変わり塗りは常時施工されるものではない。

 元来が創作的な塗装があるから、それぞれの工程が独自のもので、A種、B種のような仕上げ上の種別はない。

 変わり塗りの種類には、木目塗りのように一般の塗装の中に、変わり塗りとしての木目書き工程が加わったものもある。

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