1.概要

 陸上の鋼構造物は、鋼橋と一般ビル、住宅、工場などの構造物に大別される。鋼材は建築材料として強度、加工精度、経済性のいずれの点でももっとも有用性の高いものである。

 しかし、鋼構造物は錆びる欠点がある。鋼構造物を長期に、しかも安全に使用するためには、塗装による防せい(錆)・防食は欠かせない手段である。

 

(1)鋼構造物の腐食の特性

 鋼構造物の腐食は構造物の位置、環境、構造物の形状、部位などでさびの発生の程度、状況などが異なっている。工場地帯、沿岸部の構造物は、内陸部のものに比べて腐食による劣化が激しい。工場地帯の腐食性ガスや沿岸地域の塩分付着は、腐食の促進因子である。鋼構造物は部材・部品の数が多く、接合部位も形状も複雑である。雨水や汚れのたまりやすい構造は、さび発生の好条件となる。

 

(2)鋼構造物の塗膜

 鋼構造物塗装の防せい効果は、鋼材の表面に密着した塗膜の遮断性機能によるものである。水、酸素、腐食性ガス、酸性雨、塩分など、腐食の原因となる物質を塗膜が遮断することによって、その目的を達成する。

 防せい塗膜は、下塗り、中塗り、上塗りの3層から構成されている。第1層の下塗りは素地のさび止めと付着強化の役割をもち、上塗りは環境の腐食性因子からの遮断と色彩による美装効果の役目を持っている。中塗りは、下塗り・上塗りの層間付着を強化することが主な目的で、同時に上塗りのかぶり(隠ぺい力)不足を補う働きをもっている。鋼構造物の塗装に必要なことは、

①素地にしっかりと付着すること

②必要な塗膜厚が確保されていること

の二つである。そして、塗り重ねることによって、下塗りに発生したピンホールの悪影響をなくし、耐久性を発揮する。

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