2.素地調整

 塗装の前処理の作業として、素地調整の重要性はいうまでもない。塗膜の付着を阻害し、腐食の原因である汚れ、異物、さびを除去(防さび)し、清浄にすることは、防せい塗装の基本である。この前処理の作業を別名「ケレン」と称している。

 

(1)素地調整の種別と工程

 金属面の素地調整は通常、次の工程で施工される。

 脱脂 → 洗浄 → さび落とし → 清掃 → 塗装

 一般の工事では、ケレンハンマー、スクレーパー、ワイヤブラシなどの手工具と、ディスクサンダーなどの電動工具を併用してケレンを行っている。鋼橋や道路橋などの大型構造物の重防食塗装では、ブラスト法で完全な防さびを行っている。ケレン終了後は、塗膜機能を十分に発揮させるために、速やかに次の工程へ作業を進めなければならない。

 

(2)溶接部の素地調整

 溶接部のさび止めとそうでは、欠陥を発生させてしまうことが多い。特に管理の不十分な一般塗装では、この傾向が甚だしい。溶接部がさびやすい原因として、次のようなことが考えられる。

 ①溶接によるスパッタの付着。

 ②溶接部位には凹凸や巣穴が多い。

 ③溶接棒の被覆剤にアルカリ性物質が使用されていて、塗膜に悪影響を与える。

 溶接部位には巣穴が多く、その内部に塗料が浸透しにくい。また素地表面が凹凸状になっているため塗膜の膜厚が不均一となり、部位的に膜厚不足となることがある。残留するアルカリ除去の処置として、単なるワイヤブラシがけや水洗いのみでは不十分で、リン酸系薬剤による中和処理が必要である。全面的にサンダーによる研削を行い、スパッタを除去することも忘れてはならない。

 

(3)さび残存面の処置

 現場塗装では、どうしても素地調整不足になりやすく、特にさびが残存することも多い。さびに深く浸透するようなさび止め塗料の必要性がここにある。「浸透性さび止めペイント」は、このような要望から生まれた塗料であるが、過信してはならない。部分的なものには、さび止めの増塗りを行うことも多い。

▲このページのトップに戻る