3.プラスター、モルタル、しっくい及びコンクリート(湿式工法下地)

3-1 プラスター

 プラスターとは、鉱物質の粉末と水とを混練して壁などの仕上げに用いる材料の総称です。ドロマイトプラスター、せっこうプラスターなどがあります。

 ドロマイトプラスターは白雲石を焼成したもので、壁塗りすると炭酸ガスによりドロマイト(白雲石)に戻り硬化します。したがって、糊剤を必要とせず、硬化をすると消石灰(しっくい)より硬いが、収縮率が大でも強度も高いので、大きい亀裂が集中しやすい欠点があるので、焼せっこうを10~20%混合するとよいです。

 せっこうプラスターは、せっこう(せっこうの性質は硬化するとその体積は膨張する)を主成分としたプラスターで、従来作業性をよくするため、現場で消石灰、ドロマイトなどを加えて使用します。単に水を加えるだけでよい混合プラスターもあります。ボード用プラスターはせっこうの純度が高く、ラスボード下地用に使われています。塗装する場合は下地処理を必ず行う必要があります。

 

3-2 モルタル

 モルタルは一般に、セメントに砂を混合して水で練り混ぜたもので、セメントモルタルといいます。砂の代わりにひる石やパーライトなどを混合した軽量モルタルや、石灰モルタル、アスファルトモルタルなどがあります。ひび割れやピンホールが発生しやすいので塗装する場合は十分に下地処理を行います。

 

3-3 しっくい

 しっくいは消石灰、砂、糊、すきなどを混ぜて水で練ったもので、塗壁の一種であり、強さはせっこうプラスターに比べて弱く欠点も多いです。下地は木ずり、ラスボード、コンクリートなどがありますが、工期が長くかかるため現在ではあまり使われませんが、しっくい調の新材料が普及してきました。

 

3-4 コンクリート

 コンクリートはセメント、水、骨材(砂利、砂)さらに必要に応じて混和材料を規定の割合に調合して練り混ぜたものです。セメントと水の水和反応により、堅固な硬化体となります。製法や成形が容易で、圧縮強度が大きく、耐火、耐水、耐久性に優れていて、鋼材を覆うと防錆効果が大で、安価であるなどの長所を持っています。しかし反面、重い、引張強度が小さく乾燥により収縮する、ひび割れが生じやすいなどの欠点もあります。

 コンクリートは組成により普通のコンクリートのほかに、軽量コンクリート、砕石コンクリート、水密コンクリートなどがあります。

 コンクリートをブロック状に成形、硬化させた製品をコンクリートブロックといい、使用材料の種類や用途によって種々のものがあります。建築では主に壁や塀を作るのに用いられる空洞コンクリートブロックが多く使用されいます。

 コンクリート製品として、工場で型枠に打ち込んで製造したプレキャストコンクリート(PC版)もあり、型枠の転用を早めるために、高圧蒸気養生によって生産されます。柱、はり、壁板、床板、屋根板、道路用側溝などがあり、これらを現場で組み立てて構造体を造ります。

 また、軽量のALCは発砲気泡コンクリートのことで、高圧蒸気養生によって生産され、内部に多量の小気泡を含ませて作った多孔質のコンクリートです。ブロックは断熱、耐火性もあり内外壁、屋根、床などに非構造材として使われます。

 以上、プラスター、モルタル、しっくい及びコンクリート(コンクリート製品も含む)などは施工後のある期間は相当量の水分を含有し、初期には含水率の高いこととアルカリ性であることが大きな特徴です。塗装作業には十分な乾燥とアルカリ性の中性化に注意することが必要です。

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